AO-40運用記


すでにAO-40は運用を停止してしまったが、長楕円軌道の衛星は長時間DXと手軽にQSOでき、とてもスリリングであった。
以前、同じ長楕円軌道のAO-10/13にもQRVしていたことがあったので、興味は持ち続けていたが、ダウンリンクの2400MHzの準備がままならず、伸び伸びとなっていた。
ここでは、当時を振り返って、そのときの様子を紹介したいと思います。


1 AO-40にトライしたきっかけ

たまたま、仕事で大阪に行ったとき、デジットというジャンク屋に立ち寄ると、以前から気になっていた「ドレーク2880」という2500MHzのコンバータがあった。
早速、入手して持ち帰った。WEB上で検索すると多くの改造記事があり、それらを参考にしながら改造してみた。

   

「教科書どおり」の方法で、3つほど改造してみた。ERA-3というMMICを途中に入れるのだが、ERA-2を入れたものがノイズも少なく実用的であった。


2 初QRVのときのこと

2880の改造が済んで、取り急ぎAO-40の受信が出来るか試してみた。
手元に、以前から2400MHzで使用していた11エレループがあったので、とりあえずそれを直結して使用した。
すると、2401.3MHz付近でビーコンが聞こえるではないか。
その周辺ではも国内外のQSOが聞こえる。
そうなるとループテストがやりたくなって、簡易な6エレヤギを用意した。
2400MHzのループに針金で固定し、大変いい加減な格好であるが、ベランダで実験することにした。

    

アップリンクは、FT790MK2に10Wアンプを使用した。
CWでループテストを行うと、しっかり確認できる。衛星までの距離があるのでタイムラグが発生するが、これも往復6万キロを行き来した証と、感動したものだ。
ベランダに機器を設置(右端の写真)して、その後気をよくしてCQを出していると、JA1の局からコールバックがあった。
祝すべき初QSOとなったのであった。


3 アンテナの変遷について

初QSOが出来てしまうと、アンテナ等の設備をもう少し安定に使用出来るように、工夫してみたくなる。
いろいろ、実験してみたのだが、その様子を紹介したい。


【1】 ↑6エレヤギ  ↓13エレループ

新しくダウンリンク用に13エレループを製作した。
11エレと大差ないのだが野外に設置出来るように手持ちの部材を活用してみた。
アップリンクは、先の6エレで取り付け金具をつけて固定できるようにした。

    

こんな設置状況でも、遠地点に衛星がいると、結構なDXとQSOができた。
当時は、南極から「8J 1RL」が出ており、この写真のシステムで交信が成立した。
写真右端は、室内シャックで使用していたアップリンク(FT790MK2)、ダウンリンク(FT817)である。


【2】 ↑6エレヤギ  ↓25エレループ

13エレでは、SSBの受信に多少難があったので、室内に転がっていた25エレループを登場させてみた。
このアンテナも以前2400MHzにQRVしていたときに使用していたものである。

     


【3】 ↑8エレヤギ  ↓63cmディッシュ

SSBの受信能力をさらに向上させるため、ディッシュを製作した。

アップリンク用アンテナも、2本エレメントを増やし8エレヤギとした。
受信の能力は格段にアップし、円偏波対応となったこともあり、SSBの受信も容易になった。
鍋のふたを反射板とし、エレメントはヘリカルとしている。
アップリンクが単一偏波なので、自局のダウンリンクは衛星のスピン等もあり、聞き取りにくい状況だった。


【4】  ↑7エレクロスヤギ  ↓63cmディッシュ

アップリンクを円偏波対応とするため、クロスヤギ化した。ブーム長の関係で7エレとした。
結果は、スピンがなくなり聞き取りやすいダウンリンク信号となった。

これで、ようやく安定したダウンリンク信号が返ってくるようになったが、AO-40の電源周辺にトラブルが発生し運用停止になってしまった。
とても残念な出来事でした。。。


4 AO-40で交信したDX局等のQSL

【北米】

【ヨーロッパ】

【アジア】

【オセアニア】

【アフリカ 南極】


【H31.1.3追記】 AO-40 LEILA の話
古い衛星AO-40の懐かしい話。
2400MHzのダウンリンク信号で圧倒的によく聞こえる局がいると、パスバンド全体にAGCが働き、他の局の信号がマスクされることがあった。
LEILAと呼ばれる、強力な信号でアップリンクしている局に警告を与える機能があり、「ポリスサイレン音」でやっつけられていた。
古い音声データを整理していて、久しぶりにAO-40のLEILAのサイレン音を聞いた。

ここにUPしておきます。


【H22.5.2作成 H31.1.3追記】